民法[相続法制]改正点と実務への影響
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はじめに 民法相続法は、昭和55年に配偶者の法定相続分の引上げや、寄与分制度の新設等がなされて以降、約40年の間、大幅な改正はなされていませんでしたが、法制審議会での約3年に及ぶ審議を経て、今般(平成30年7月6日参議院本会議にて可決・成立、公布同年7月13日法律第72号)、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(以下「民法等改正法」といい、同法律により改正された民法を以下「新民法」といいます。)が成立しました。 民法等改正法の特色としては、①生存配偶者の保護、②不公平感の是正、③旧制度の使い勝手の悪さの是正、④最高裁平成28年12月19日決定を受けた対応策、⑤旧民法において曖昧ないし不十分な規定となっていた事項の明確化の5つを挙げることができます。 まず、①生存配偶者の保護として、相続開始後、それまで被相続人と同居していた配偶者の居住権を保護するための配偶者短期居住権、配偶者居住権が新たに創設されました。また、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方配偶者が、他方配偶者に対し、居住用不動産等を贈与等した場合には、持戻し免除の意思表示があったものと推定する規定も創設されることとなりました。 次に、②不公平感の是正として、遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合に関する規定の創設、相続の効力等(権利及び義務の承継等)に関する見直し、遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果、及び相続人以外の者が被相続人に対し特別の寄与を行ったことによる特別寄与料請求に関する規定等が新たに設けられました。 また、③旧制度の使い勝手の悪さを是正するために、自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の創設や、遺留分減殺請求
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