社長に“もしものこと”があったときの手続すべて
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今年の仕事始めの翌日のことでした。総務が取り次いだ関与先の専務からの電話に、「おめでとうございます、今年もよろしく」と新年の挨拶をしたところ、受話器の向こうからは、いつもの専務らしくない少々気落ちした声が聞こえてきました。「先生、そうなんですが、実は一昨日、父が亡くなりまして……」「えっ、今なんておっしゃいました?」「いや、ですから父が亡くなったと……」「ええっ、社長がですか!」「正月三が日は元気にしていたのですが、一昨日、突然に……」「そうとは知らずに、おめでとうございますなんて失礼なことを……」「いえ、それはいいのですが……」こんなやりとりで、年明け早々に関与先のご不幸に遭遇したのですが、専務との電話はもう少し続きました。「先生、何しろ突然のことで何をどうすればよいのか、皆目見当がつかない状況です……」「お悔やみ申し上げるとともに、ご心中をお察しします。」「ありがとうございます。」「ここは、ご長男である専務にしっかりと対応してもらわなければなりません。」「ええ、その覚悟はしているつもりです。」「事務的なお話になって恐縮ですが、専務にはご遺族としての対応に加えて会社の役員としての対応が求められます。」「やはり、そうなりますよね。」「今からでもよければ、事務所でご相談に乗りますが、ご都合はいかがですか。」「それは心強いです。何しろ初めての経験で何から手をつけたらよいのやらさっぱりわかりません。お忙しい先生の時間を拝借しますが、今からお邪魔しますので、ぜひご指導のほどをよろしくお願いします。」「いえいえ、日頃お世話になっている者の一人として当然のことです。ご足労ですが、お待ちしています。」そうして、その日の午後に事務所の応接室で専務と打合せをすることになりました。さて、このように会社のトップが突然に他界されるというアクシデントに遭遇した場合、ご遺族はもちろん、会社の役員やスタッフにとって、「何からどう対応すればよいのか」と戸惑われる方は決して少なくありません。誰しも、このような経験が豊富なはずはありませんから、電話口の専務さんのように少々取り乱しがちになるのもやむを得ないところです。はしがき
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