中小企業のための事業承継ハンドブック
27/30

Ⅱ 事業承継スキームと関連法規174ウ.その他留意事項 全部取得条項付株式の取得条項発動による株式の取得は、その対価が現金の場合には、分配可能額(Q3-3を参照)を考慮する必要がありますが、無議決権株式等の他の種類の株式を対価とする場合には、これを考慮する必要はありません(会461①四)。④ 拒否権付株式の活用(種類株式の活用)ア.概要 対策の4つめとして、後継者に対して、売渡請求の決定について後継者の決議も要するような、拒否権付株式を発行することが挙げられます。この場合、仮に後継者に対して売渡請求が生じた場合においても、その決議は後継者による種類株主総会の決議が必要となることから、後継者は当該種類株主総会にて反対決議をすることで、売渡請求を避けることができます。イ.手続き 拒否権付株式の交付は、種類株式の発行になるため、定款での定めを行った上で、その交付を行う必要があります(会108②八)。定款の定めがない場合には、株主総会特別決議により、定款の変更手続が必要となります(会309②十一)。売渡請求の決定決議において、拒否権を発動できる株式売渡請求がなされた場合においても、後継者が拒否権付株式を用いて、反対することができる。後継者(拒否権付株式)売渡請求の決定決議現経営陣相続発生敵対的少数派株主反対!現経営者

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 27

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です