中小企業のための事業承継ハンドブック
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Ⅱ 事業承継スキームと関連法規170⑵ 少数派株主による売渡請求を防止するための対策 先述したとおり、少数派株主によって売渡請求がなされた場合、後継者に経営権を集中させることが困難となります。この弊害を防止するための対策として、生前贈与制度、種類株式制度の活用や平成26年の会社法改正で新設された特定支配株主による株式等売渡請求制度の活用(Q3-11を参照)が挙げられます。そのため、以下では各対策について検討します。① 生前贈与制度の活用ア.概要 生前贈与によりあらかじめ現経営者から後継者に株式を移転しておくことで、相続発生時に現経営者から後継者への株式の承継をなくすことができます。相続発生時に株式の承継がない以上、売渡請求も生じ得ません。これにより、本来売渡請求の対象となるべき株主からの株式のみをその対象とすることが可能です。イ.手続き 生前贈与を行う場合、暦年贈与制度を用いるか相続時精算課税制度を用いるかを選択する必要があります(各制度の内容はQ4-8、4-9を参照)。また、株式に譲渡制限が付されている場合には、生前贈与による譲渡の承認に際して株主総会決議が必要となります(会139①)。現経営者から後継者に対して、株式を生前贈与することにより、相続時にはすべて株式が移転している状況となる。    ⇒相続による株式の承継が生じていない以上、相続人等に対する株式の売渡請求はできない。  ⇒その結果、敵対的な少数派株主による売渡請求を回避することができる。現経営者後継者生前贈与売渡請求の決定決議相続が生じていないため、売渡請求はできない。現経営陣相続なし敵対的少数派株主

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