中小企業のための事業承継ハンドブック
21/30

Ⅱ 事業承継スキームと関連法規1682.売渡請求までの具体的な手続⑴ 売渡請求に係る定款の定め 相続人に対する自社株式の売渡請求を行うには定款の定めが必要です(会174)。定款の定めがない場合には、株主総会特別決議により、定款の変更手続が必要となります(会309②十一)。⑵ 売渡しの請求の決定 ⑴の定款の定めがある場合において、売渡しの請求をしようとする場合には、その都度、株主総会特別決議によって、請求する株式数や請求対象者を決定する必要があります(会175①、309②三)。なお、当該決議に際しては、請求対象者となる者は議決権の行使ができません(会175②)。⑶ 売渡しの請求 ⑵の事項を定めた上で、株式会社は請求対象者に対して、株式の売渡請求を行い、売買価格を協議します(会176①、177①)。協議が整わない場合等には、売渡請求があった日より20日以内に裁判所に対して売買価格の申立てを行うことで売買価格の決定を行います(会177②)。なお、売渡請求が可能な期間は、株式会社が相続等があったことを知った日より1年以内に限られます(会176①但書)。また、当該売渡請求による株式の取得は、自社株式の取得にあたるため、財源規制がなされています(会155①六)。そのため、売買価格の決定の際にはこの点にも注意が必要です(Q3-3を参照)。図表1 具体的な手続きのまとめ売渡請求に関する定款の定めがあるか否か?【注意点】 ① 売渡請求は、会社が相続等があったことを知った日から1年以内に行う必要がある。 ② 売渡請求による株式の取得は、自社株式の取得にあたるため、財源規制がある。 株主総会特別決議により売渡請求の決定を行う会社と請求対象者との協議で売渡価格を決定する株主総会特別決議により定款変更の手続きを行うなしあり

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 21

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です