経理担当者、士業のための 最短で導き出す 分配可能額
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117第2章 分配可能額算定法のShortcut①(自己株式に関する調整)例えば、自己株式の期末残高を10とすると、これを「自己株式の帳簿価額」の欄に記載し、それ以外の3項目はゼロと記載します(自己株式の取得、処分、消却が発生していない)。その結果、「分配可能額への影響額」は-10と計算されます。つまり、分配可能額を10押し下げるという意味です。図表2-3の合計欄より下の2行は、この-10をもたらした要因を分析している部分です。すなわち、-10のうち自己株式の期末残高によりもたらされたのが-10であり、差引は0ということから、それ以外の要因はないということを示しています。以上から、期末において自己株式残高があるものの、期末日後においては特に自己株式関連の取引(取得、処分、消却)が発生していない場合は、期末の自己株式残高を分配可能額算定上マイナスしてあげればよいということになります。期末日後に自己株式を取得(ケース2)今度は図表2-4です。期末において自己株式残高がある点はケース1と同じですが、期末日後に追加的に自己株式を取得しているケースになります。自己株式の期末残高が10で、期末日後に30取得しているとします。分配時の図表2-3:自己株式に関する取引が分配可能額に与える影響(ケース1)最終事業年度末日後に自己株式の取引がない場合(期末残高=分配時残高=10とする)分配可能額に対する影響-自己株式の帳簿価額会社法461条2項3号10-最終事業年度末日後の自己株式処分対価額会社法461条2項4号0+最終事業年度末日後に発生した自己株式処分差額会社法446条2号0-最終事業年度末日後の自己株式消却簿価会社法446条5号0合計分配可能額への影響額-10上記合計に含まれる最終事業年度末日の自己株式残高による影響-10差引0
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