経理担当者、士業のための 最短で導き出す 分配可能額
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1はじめにはじめに二つの異なる専門分野にまたがる仕事というのは、そう簡単にはいかないことが多いものです。例えば、外国語で決算書を作成する業務はその典型です。会計の知識だけでもダメ、語学力だけでもダメ、その両方が揃っていなければ通用しないのです。本書のテーマである分配可能額も、二つの分野にまたがった話です。一見、会計の領域の話のようですが、分配可能額の求め方自体は会社法に規定されています。つまり、会計と法律という二つの分野にまたがる話なのです。分配可能額の算定方法が難解であると感じるのは、まさにこの点にあります。本書では、その難解である分配可能額の算定方法を無理なく習得できるツールを用意しました。「分配可能額算定シート」です。本書に収録されているExcel形式による「分配可能額算定シート」は、会社法の規定をなぞる形で作成されており、所定の入力セルに数字を入力していくだけで分配可能額を計算することができます。このシートに数字を入力していくことで、会社法の条文に従った分配可能額の算定方法を確認することができます。実務家の皆様には、ぜひ、使っていただきたいと思っています。ただし、本書の意図はもう一歩先にあります。最終的には「分配可能額算定シート」から卒業していただきたいのです。「分配可能額算定シート」はソロバンだと思ってください。ソロバンの名人は、ソロバンなしでも計算ができます。頭の中にソロバンがあるからだ、とよくいわれます。それは、いうなればバーチャル・ソロバンです。リアル・ソロバンを極めた結果、バーチャル・ソロバンに計算ツールが置き換わったのです。分配可能額の算定もこれと同じように考えてください。リアル算定シートをしっかり学習して、最終的にはバーチャル・算定シートに置き換えていただきたいのです。

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