経理担当者、士業のための 最短で導き出す 分配可能額
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13第1章 分配可能額算定シート Sheet12 入力項目の解説Sheet1の趣旨は、Sheet1だけを見ていてもわかりません。Sheet2で計算される分配時の剰余金の額とSheet5で計算される調整項目を合わせて考えなければ、理解できないのです。特に自己株式に関する入力項目は、Sheet2と合わせて意味をなすので、Sheet1だけを見ていてもわかりません。したがって、ここでは深く考えないようにしてください。このSheetのタイトルは「分配可能額算定の基本式」となっていますが、「基本式なので覚えてほしい」ということではありません。まずは、剰余金の額に調整をして分配可能額になるという基本構造だけを覚えてください。以下、入力欄について説明していきます。1自己株式の帳簿価額会社が自ら保有している自社の株式が、自己株式です。その帳簿価額を入力します。このとき期末時点の金額ではなく分配時(効力発生日)の自己株式残高を入力するのがポイントです。会社法461条2項3号では、単に「自己株式の帳簿価額」としか書いてありませんが、これは期末時点の金額ではなく分配時の自己株式残高を意味しています。分配時基準で分配可能額を算定するという考え方がベースにあるのです。「分配時の自己株式残高」は、決算書に記載された期末残高を基に、分配時までの増減を加味して求めることができます。例えば、期末の自己株式残高が100、その後分配時までに、20取得し、30売却したのなら、100+20-30=90となります。よって、90を「自己株式の帳簿価額」の欄に入力します。会社の実務では、分配時の直近月末の試算表で自己株式残高を知ることができるので、その額にその後の増減(分配時まで)を加味すれば求めることができます。
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