職業的会計人である公認会計士や税理士、様々な事件を受任する弁護士といえども、会計不正事件の当事者となることは決して多くない。ましてや、企業の中で経理部門や内部監査部門に勤務されている方はなおさらであろう。実際に経験することの少ない――もちろん、経験せずにすむのであればそれにこしたことはないのだが――「架空循環取引」という会計不正事件の事例について、具体的なイメージをお摑みいただき、会計不正の端緒はないか、端緒を発見するためにはどうすればいいか、会計不正を防止するためには何をすればいいかについて、本書が、読者のみなさんがそれぞれの立場から考えるきっかけになれば、こんな嬉しいことはない。 改訂版でも、初版に引き続き、弁護士の山口利昭先生に推薦の言葉をお寄せいただいた。お忙しい業務の合間を縫ってご執筆いただいたことに、この場を借りてお礼を申し上げたい。 また、改訂版の編集作業では清文社の對馬大介さんにお世話になった。3人の共著者のバラバラな文体を整理して、1冊の書籍にまとめ上げるのは大変なご苦労だったのではないかと思料する。あらためて感謝を申し上げる次第である。 平成30年12月執筆者を代表して 税理士 / 公認不正検査士 米澤 勝
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