とりわけ、平成28年度から平成30年度までの3か年の改正は抜本的とも言えるもので、実務に与える影響には極めて大きいものがあります。これらの改正点に関しては図解・計算設例を用い、設例によっては別表の記載までを含めたより丁寧な解説に努めました。 なお、平成31年度税制改正につきましては、税制改正大綱が発表されていますので、1問を設け、関連Q&Aを示したうえで図解を用いてわかりやすさをモットーに改正項目の解説を行っています。このような状況から、今回の改訂は、会計・税法部分の加筆修正が大部分を占めることになり、相当数のQ&Aを追加(純増46問)しており、総ページ数も、気がついてみますと、3408ページという分厚さになってしまいました。お許しを得たいと思います。 本書の初版の発行時から、「屋上屋を架す出版はするまい」との強い決意のもと、監修者を務めておりました畏友澤田眞史氏と私の間で約束された本書の基本コンセプトについて語っておきたいと思います。次のとおりです。① 企業組織再編に関する法律・会計・税務をあくまで実務的な視点から有機的に検討するという基本姿勢を大切にする。したがって、諸問題を単なる記述的解説にとどめることなくこれを具体的な「設例」や「図解」・「仕訳」を用いて説明し、問題の結着のところまでを示せるように心がけて解説すること。② 大部になっても、読者が目次をみて自分の疑問に対する解答が見つけられるように、企業組織再編のあらゆる問題に関して、辞書的役割を果たすこと。③ わかりやすさをモットーにして、厳密に条文・基準・規則等に沿った忠実な解説に努めること。そのうえで、実務上の取扱いが不透明な部分に関しては、現状与えられた情報の下、根拠を示して実務家として意見を忌憚なく述べること。 澤田眞史氏は本書出版の改訂作業をしている平成28年12月に逝去されました。本書の完成を彼に報告し、墓前に捧げたいと思います。本書がこれまで多くの読者の支持を受けて、本書を含め11次に亘る改訂を重ねることができたのは、彼の上記基本コンセプトへの強い思いとリーダーシップがあってのことであります。
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