改訂版の監修に当たって 本書『合併・分割・株式交換等の実務』の初版を平成12年11月に世に送り出してから、既に18年を超える歳月が経過しました。当時、「合併・分割」をテーマとする定本として、古くより同じ清文社から出版された髙木文雄氏監修の『会社の合併・分割・清算・更生―その法律と税務・会計の実務』があり、本書の出版は、実はその後継企画として、監査法人(仰星監査法人の前身である北斗監査法人)の設立10周年の記念事業としてなされたものでありました。 当時の振り返りとして、初版監修者の澤田眞史氏(前任)の「監修に当たって」(本文に次いで収録)をお読み頂きましたら当時の企業組織再編法制(法律・会計・税務)の状況が手に取るようにわかります。私自身も改めて読み返して、隔世の感を強くしているところです。 初版の発行後を振り返ります。わが国の企業基本法である商法は平成9年から始まる数次に亘る断続的な部分改正を経て、その集大成である会社法が平成17年6月29日に公布(平成18年5月1日施行)されました。一方、この企業法制の大改正を受けて、平成20年12月26日改正の「企業結合に関する会計基準」及び「事業分離等に関する会計基準」とこれらに関する適用指針、さらにこれを受けて、財務諸表等規則及び会社計算規則の改正もなされました。このように、企業グループを対象とした法制度や会計制度が整備・定着していく中、税制面では、法人の組織形態の多様化に対応するため、先ずは企業組織再編税制が平成13年3月31日に施行され、さらには、平成22年度税制改正において、グループ法人税制の創設と資本等取引課税等の見直しが行われました。すなわち、企業組織再編関連では、「適格現物分配制度の創設」、「無対価組織再編の取扱いの明確化」、「自己株式取引に係る税制の見直し」等の改正ですが、実質的に重要な論点を含んだものでした。これで、企業組織再編に係る企業法、税法及び会計の三点セットが一応整備されたことになります(ここまでが前版までのカバー範囲です)。その後も法律・会計・税務の各分野で重要な改正が断続的になされています。
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