はじめに2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首より、収益認識に関する会計基準及びその適用指針(以下、「当会計基準等」)が適用になります。企業によっては、収益の額及び認識時期に非常に大きな影響を与えることとなり、既に影響額調査や、業務フロー・システム変更に着手している企業もあるかと思います。本書は、当会計基準等について、適用の検討や実際の導入について、その実務に沿った流れを意識して解説しています。いち会計基準の改正ではあるものの、法人税法がこれに平仄を合わせる形で改正されたことや、一方で消費税法には変更がないため法人税法と異なる論点が生じるなど、税務においては煩雑な処理を要することになります。また、企業にとって最も重要な「収益」に関しての論点であり、企業への影響が非常に大きいものです。契約関係やシステムの見直しなども必要であり、対応に時間がかかる項目もあります。このように、会計実務にとどまらず、法務や税務へも大きな影響が及ぶことになりますが、会計基準や処理自体についての解説書は多いものの、これらを実務的な観点から、概念の解説の枠を超えて解説している書籍はまだ少ないように感じています。そこで、会計・法務・税務を一体的に捉え、それぞれの論点について、実務のプロセスや思考にフォーカスして解説を進めることで、真の実務に直結した内容を可能としました。特に、ステップ1~5を図解し、それぞれに関する設問(Chapter3)を示すことで、必要な部分から読めるようにしています。また、主な論点を扱った設問(Chapter3)について、それぞれのステップを確認できるようにしてあり、同時点で想定される他の論点についても気づきを得られるようにしました。なお、多くの企業が最終準備段階に入る時期を意識し、当会計基準等が参考としている国際財務報告基準(IFRS)第15号「顧客との契約から生
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