改正個人情報保護法と企業実務
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6第1節 個人情報保護法とは「グローバル化への対応」等を目的として、2015(平成27)年9月9日に改正個人情報保護法が公布された。 この改正個人情報保護法の「目的」は、以下のとおりであるとされている。〈個人情報保護法(改正法)〉(目的)第1条 この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。 個人情報保護法は、個人の権利利益を保護するための規制法であると捉えられることが多いが、「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ」とされている点に留意すべきである。 つまり、日本の個人情報保護法は、単に個人の権利利益を保護するのみでなく、「新たな産業の創出」「活力ある経済社会」「豊かな国民生活の実現」などの「個人情報の有用性」への配慮が必要であるとしているのである。 条文の解釈等において、この視点を忘れないようにしなければならない。2個人情報保護法令の全体像 個人情報保護法令の全体像は、図表Ⅰ-1-1のとおりである。

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