第1章 意識、価値観のクラウド化13さて、現場で会計ソフトを使用して会計帳簿を主に作成しているのは「帳簿作成スタッフ」ですが、この場合、組織全体にメリットがあるのかを考える必要があります。インターネット広告やセミナーなどで目にするクラウド会計ソフトの導入事例には、「帳簿入力のスタッフの人件費がクラウド会計ソフト導入後に◯分の1になりました」「人件費が大幅に削減できて効果が絶大です!」といった類の文言がよく並んでいます。こうした文言を見るたびに、1つの疑問が沸き起こります。「帳簿作成スタッフ」は、自分自身のメリットとして捉えるのでしょうか。おそらく、事務所経営者(所長)の立場であれば、事務所経営において人件費が大幅に削減できるというメリットを感じることでしょう。反面、帳簿作成スタッフの立場からすると、帳簿作成が自動化するということは、自分の仕事がなくなるかもしれないということ。つまり、自分で自分の首を締めているに等しいのです。すると、クラウド会計ソフトを実際に使う帳簿作成スタッフは、そのメリットを口にすることにためらいを覚えることでしょう。そのため、事務所内での共有が遅々として、その活用は進まないのです。また、顧問先担当のメリットはどうでしょうか?使い慣れた会計ソフトを、クラウド会計ソフトに切り替える。会計ソフトに限らず、使い慣れたツールやサービスを新しいものに切り替えるには、その手間をはるかに凌駕するメリットを感じることができな
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