士業者が身につけたい 顧客をつかむ面談術
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64 「おっしゃるとおり、その観点はよく理解しているつもりです。ただ、自分は童顔で、ヒゲがないとかなり幼く見られてしまいます。これは、悩んだ末のヒゲです。一応、事務所の長にも理由を言って許可を貰っています」 ご本人がわかった上で、所長の許可まで貰っているということですから、他人がとやかく言うことではないかもしれません。それ以上は言葉を差し控えましたが、私は失礼ながらも心の中で、「その所長さん、顧客心理に対して確かな目をおもちなのかしら…」とちょっと心配になりました。 講座終了後のアンケートの中に、ヒゲについていくつかコメントがありました。多かったのは、私に同感だというご意見です。特に忘れられなかったのは、翌日わざわざメールをくださった、あるベテラン公認会計士の方のお言葉でした。 「全員の前で、堂々とヒゲのことを指摘された坪田さんのことを、あの瞬間、改めて信頼するに至りました」 その方は、公認会計士の資格をとる以前、某コンサルタント会社で人材育成のお仕事をなさっていたとのこと。「やはり、ヒゲは相手への印象を下げる場合があり、一般企業における顧客満足という観点からは注意しなくてはならないことだ」と書いてくださいました。そして、私が不特定多数の前で公然と指摘したことを、「勇気がある。本気で伝えようとする姿勢だ」と高く評価してくださいました。 ヒゲを生やしていることが、すなわち心の乱れにつながるとはいえない
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