税理士事務所 7つの経営戦略
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211第6章特化型事務所配する方がいらっしゃいますがそれは間違いです。所長の時間・スタッフの時間、受けられる案件の数は有限です。使える時間、受けられる案件に上限があるとすれば、同じ作業で効率化を図ったほうが利益は残ります。ターゲットを絞るからこそ、業務をテンプレート化することが可能になります。逆に、最も避けなくてはいけないことは、「ビジネスチャンスを逃したくない」と、場当たり的に他の業務や業種を増やすことです。業務内容を絞り社内で効率化できるからこそ、他社より質の高いサービスが提供できます。そこに、違う流れの仕事が入ってくることで、メイン業務の時間を奪い効率が一気に悪くなり、ときには赤字になることさえあります。荒巻先生もインタビューのなかで、低価格型を取り入れようとして失敗されたことを話しています。一時的に売上は伸びても、その後赤字から抜け出せなくなってしまいますから、他の業務などの水平展開はじっくり進める必要があるのです。このように市場が飽和してくると、ターゲットを絞ることで専門性を強みとし、大手税理士法人とも競える力を持つことが可能になります。業務特化型の荒巻先生や、業種特化型の大野先生は、税理士業界が飽和してきた現在に出てきた新しいかたちの事務所といえるでしょう。
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