賃貸経営の税務Q&A
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なりません。建物以外の、附属設備や構築物などは定率法が選択できます。ただし、 平成28年度税制改正により、 平成28年4月1日以後に取得する附属設備・構築物は定率法が選択できず、 定額法のみの償却になる予定です。定率法を選択する場合には、資産を取得した年の確定申告書の提出期限までに「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署に提出する必要があります。3.定額法と定率法のどちらを選択したほうがよいか定額法でも定率法でも、最終的な償却費の合計額は同じになります。償却額を一定にするか、最初に償却額を大きくしたいかの違いです。償却期間トータルで見ると、税金上、得になるのは定額法です。これは、所得税が「超過累進税率」といって、5%~45%の間で段階的に税率が変わるシステムになっているからです。同じ100万円の経費を使うにしても、税率が20%と30%では節税効果が違います。税率20%の場合には20万円の節税効果、税率30%の場合には30万円の節税効果になります。つまり、経費は高い税率から控除したほうが効果が高いのです。定率法の場合には、当初に減価償却費が多く取れることから、低い税率部分を削ることになりかねません。定額法であれば、効率的に高い税率を削ることができるのです。定率法を選択するほうが、定額法よりも、購入当初の償却額は大きくなり、支払う税金が少なくなるため、定率法を選択すると購入当初にキャッシュが残りやすくなります。残ったキャッシュを別の投資などに回すことも可能になるため、資金繰りの面から定率法を選択することは経営判断としては間違っていません。ただし、融資を受ける関係などで、経理上赤字にできない場合や、土地126第2章 成長期
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