税理士損害賠償請求事例にみる事故原因と予防策
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※事例一覧表は以下の通りである。責任損害額控除できる額回復の手段有無(本来納付すべき本税)──(3)損害額から控除できる額民法において明文規定はないが、損益相殺は広く認められているところである。これと同様のルールが税賠保険にも存在し、本書においては「回復額」と称している。その内容は次の通りである。消費税や事業税に代表されるその支払が損金(個人の場合は必要経費)または還付額が益金(個人の場合は収入金額)処理される税金については、原則として、損金算入後または益金計上後の金額を損害額として認定するとされている。即ち、消費税等の税金は過大納付または還付不可となっても、一方で当該事業年度または翌事業年度において、消費税の損金算入または益金未計上により法人税(所得税)及び地方税(以下、法人税等という)の節税が発生することから、その節税額は損害の回復とみなし、損害額から控除することとしている。また、税法独特のルールにより、圧縮記帳や特別償却などの減価償却の先取り等による課税の繰り延べや、課税要件が具備されていない場合の別表加算など、一時的には損害が発生するが、トータルで考えれば損害額が全部回復するようなケースもある。上記(1)❷の民事責任においてはその成立要件として「③損害が発生していること」が挙げられているが、税賠保険においては、損害額が上記ルールにより全額回復するため、無くなるケースもある。このようなケースの場合には、次のように記載している。6

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