税理士損害賠償請求事例にみる事故原因と予防策
20/48
債務不履行(民法415条)不法行為(民法709条)契 約有無発生要件善管注意義務違反故意・過失成立要件①債務不履行の事実があること②債務者の責めに帰すべき事由があること③損害が発生していること④①と③の間に因果関係があること①権利侵害があること②故意・過失があること③損害が発生していること④①と③の間に因果関係があること挙証責任債務者依頼者・第3者消滅時効10年3年(除斥期間20年)税理士に対する民事訴訟の多くは、税理士の善管注意義務違反を問うものである。善管注意義務とは、一般的に、善良な管理者であれば当然求められ、期待される注意義務を指すが、税務の専門家である税理士に対しては、高度な知識、経験、能力を必要とすることから、その職務の社会的使命などに鑑み、一般に求められるよりも相当高度な義務が要求されている。過去の判例を見ると、税理士に要求される義務には高度注意義務、忠実義務、指導・助言・説明・情報提供義務、業務補助者に対する指導・監督義務などがあり、これら全てが税理士に求められる責任と解される。税理士職業賠償責任保険における責任本書における責任は、税理士職業賠償責任保険(以下「税賠保険」という。)における責任である。これは、保険金支払いの観点からの責任であるため、②民法における責任よりも範囲が限定的である。税賠保険における責任の範囲は以下の税理士業務に限定されている。⑴税務代理(税理士法第2条第1項第1号)⑵税務書類の作成(税理士法第2条第1項第2号)⑶税務相談(税理士法第2条第1項第3号)⑷上記⑴~⑶の業務に付随して行う財務書類の作成または会計帳簿の記33序章 事故事例の前提
元のページ