税務調査事例からみる役員給与実務Q&A
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242 税法においては、退職給与(退職手当)につき、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう、としている(所基通30-1)。(2)役員退職給与の範囲 退職給与についての法人税法上の定義は必ずしも明確ではないが、参考となる資料として、法人税取扱通達がある(昭和31年直法1-102(2))。それによれば、以下に掲げるものは、その実質が退職給与の一部と認められるものでない限り、退職給与(金)に含まれないとしている。① 遺族補償金、遺族手当② 弔慰金、葬祭料及び香典③ 結婚祝金品④ 帰郷旅費⑤ その他①~④に準ずるもの また、上記②については、別の法人税取扱通達(昭和34年直法1-150(51)(廃止))で、葬祭料または弔慰金の額のうち適正な金額は退職給与(金)として取り扱わないことができるとしており、適正額を超えた部分については退職給与とすることが示唆されている。(3)役員弔慰金の適正額 役員弔慰金の適正額については、相続税の取扱いが参考になると考えられる。すなわち、相続税法基本通達によれば、以下の金額を超える部分の金額が退職手当金(退職給与)に該当するとしている(相基通3-20)。① 被相続人の死亡が業務上の死亡であるときは、その者の死亡時における賞与以外の普通給与(役員報酬等の合計額)の3年分に相当す*1 江頭前掲書(第1章*1)458頁

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