税務調査事例からみる役員給与実務Q&A
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202解 説(1)過大な使用人給与の損金不算入 役員給与と異なり、内国法人が支給する使用人給与については、原則としてその全額が損金に算入される。しかし、内国法人がその役員の親族等に該当する使用人(特殊関係使用人)に対して支給する給与の額のうち、不相当に高額な部分の金額は損金に算入されない(法法36)。 これは、役員の親族等が使用人である場合、その者に対する給与は、その法人の役員が恣意的に金額を決定することができるケースが多くみられ、当該使用人に高額な給与を支給して法人税の負担軽減を図ることが可能であるため、そのような租税回避行為を規制する意味で当該規定が導入されているのである。また、親族間に給与を分散する行為は、超過累進課税を採用する所得税の軽減を図るという効果もあるため、その観点からも当該規制は意味のある規定である。(2)特殊関係使用人の範囲 それでは、当該規制の対象となる使用人(特殊関係使用人)の範囲はどのように規定されているのであろうか。特殊関係使用人は、法人の役員と一定の関係にある使用人で、具体的には以下の者を指す(法令72)。① 役員の親族② 役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者③ 上記①・②以外の者で、役員から生計の支援を受けているもの④ 上記②・③に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族 上記③の「役員から生計の支援を受けている」とは、一般に、その役員から給付を受ける金銭その他の財産または給付を受けた金銭その他の財産の運用により生ずる収入を生活費に充てている者をいうと解されている(法基通9-2-40)。

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