税務調査事例からみる役員給与実務Q&A
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27第2章役員給与を巡る法人税の理論と実務額に対する恣意性が排除されているものについても損金算入が認められるとともに、従来課税上の弊害が大きいと考えられていた利益連動型の役員給与について、その適正性と透明性が担保されていることを条件に損金算入されることとなった*3。(3)平成18年度税制改正後の法人税の取扱い 平成18年度税制改正後の役員給与に関する法人税の取扱いの特徴は、まず、役員給与は原則「損金不算入」となったということである。これは法人税法第34条第1項(役員給与の損金不算入*4)の規定ぶりが、内国法人がその役員に対して支給する給与のうち次の三類型に該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない、となっていることがその根拠である*5。① 定期同額給与② 事前確定届出給与③ 利益連動給与 また、実質一人会社である特殊支配同族会社のオーナー役員(業務主宰役員)に支給する給与のうち、給与所得控除相当額は、法人税と所得税の二重控除に該当するとして、原則として損金不算入となる制度が新設された(旧法法35①)。なお、当該措置は中小企業からの批判が強く、平成22年度の税制改正で廃止された。*3 財務省編『平成18年度改正税法のすべて』323頁*4 例えば、新日本法規編『実務税法六法(平成28年版)』の法人税法第34条のタイトルはこのようになっている。*5 ちなみに、改正前の旧法人税法第34条第1項では、役員報酬のうち不相当に高額な部分の金額については損金の額に算入しないとなっており、原則は損金算入であるが、一定の報酬については例外的に損金不算入であるという規定ぶりであった。この規定ぶりは、別段の定めとして損金不算入を規定している他の規定(資産の評価損の損金不算入等(法法33)、寄附金の損金不算入(法法37)等)と平仄が合っており、改正後の役員給与の規定ぶりの特異性が際立っているといえる。

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