税理士が使いこなす 改正国税通則法
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立証責任と推定4 課税要件事実の存否が真偽不明の場合でも、審査請求、訴訟では、判断を避けることができない。課税要件事実の存在または不存在を擬制することになる。したがって、納税者または原処分庁・国のいずれか一方は、課税要件事実の存在または不存在が擬制されることによって、自らに有利な法律効果を受けることができない、という不利益を受ける。 このような不利益を「立証責任(客観的立証責任)」という。立証責任は、各課税要件ごとにあらかじめ定まっており、当事者の立証活動によって、移動することはない。 相手方の立証活動の結果、自ら立証しなければ、課税要件事実の存在が立証され、そのままでは自らに有利な法律効果を受けることができないような状況に陥ることもある。しかし、これは「立証の必要」が生じたのであって、立証責任(客観的立証責任)が移動したわけではない。ただ、立証の必要を、主観的立証責任と表現することもあり、紛らわしい。立証責任と立証の必要性高度の蓋然性YX★ 立証責任がYにある。しかし、Yの訴訟遂行によって、★まで達すると、Xが立証をしないと、Xに不利な法律効果が生じてしまう。 各課税要件事実について、納税者が立証責任を負うのか、それとも原処分庁・国が立証責任を負うのかは、解釈に委ねられている。基本的には、原処48第2章課税要件論及び納税義務の確定
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