税理士が使いこなす 改正国税通則法
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て審理をすることとされている2-31。事実認定の方法3 では、課税要件事実の存否をどのように判定するか。言い換えれば、どのような場合に課税要件事実が認定できるのか。この点について、租税法は、ほとんど触れるところがない。 民事訴訟の一般的な考え方によれば、証拠調べの結果等によって、課税要件事実が存在する高度の蓋然性が認められる場合、すなわち証明があった場合に、裁判官は、当該事実を認定するとされている2-32。税務訴訟の場合は、当然、この考え方が妥当する。 審査請求においても、事実認定について、特に、税務訴訟と異なる考え方を取る理由はないから、疎明(一応は確からしいとの推測を得た状態)や推測では、許されず、税務訴訟と同様に、課税要件事実の証明が必要というべきであろう2-33。証明、疎明証 明……事実が存在する高度の蓋然性が認められる状態疎 明……一応は確からしいとの推測を得た状態 では、具体的に、どのような証拠があれば、証明があったとされるのか。最終的には、経験則に照らして、個別的に判断するほかないが、いくつか、基本となる考え方がある。 まず、「直接認定型」と「間接推認型」との区別である。2-31 争点主義的運営。昭和45年3月24日の参議院大蔵委員会の附帯決議参照2-32 最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁2-33 税務調査の段階においても、疎明、推測では足りないとするものとして、渡辺伸平『税法上の所得をめぐる諸問題』(司法研究報告書第2第19輯第1号)100頁46第2章課税要件論及び納税義務の確定
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