『営業経費』の税務判断
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[第三十九条]病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。株式会社等の普通法人は剰余金を配当することで、出資者に利益を還元しますが、医療法人には剰余金の分配が認められていません(医療法54条)。利潤の極大化を通じて、株主や社員債権者等の利害関係者に経営成果を配分する普通法人とは、異なる経営が求められているものと思われます。このような違いはありますが、課税所得金額の計算については、普通法人と同じ税法上の取り扱いを受けます。❶医療法人医療法39条により設立された病院や診療所、介護老人保健施設で、都道府県知事の認可を受けて設立されます。医療法人は、定款又は寄附行為の定めるところにより、本来業務のほかに次の業務の全部又は一部を行うことができます(医療法42)。①医療関係者の養成又は再教育、②医学又は歯学に関する研究所の設置、③巡回診療所等の開設、④疾病予防運動施設の設置、⑤疾病予防温泉利用施設の設置、⑥保健衛生業務、⑦就学前の子どもに関する教育、⑧有料老人ホームの設置。❷社会医療法人公益性の担保を主たる目的に、都道府県知事の認定を受けて設立される医療法人で、医療業務以外の関連事業から得られる収益を、病院などの本来業務に充てることができます。救急医療、僻地医療、災害医療などの地域医療は、継続的なサービス提供が求められ、必ずしも採算が取れる業務ではありませんが、透明な経営のもと、効率的に地域医療の安定化を実現第1章医療・介護事業者の税務36

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