租税回避をめぐる税務リスク対策
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81第1章 ヤフー・IDCF事件最高裁判決が理解する事件の構図124億円についても活用が可能となるスキームとして提案されたものあるとし、その後、本件提案に従って一連の組織再編成が行われたものと主張している。その上で、ヤフー事件に関しては、本件副社長就任について、IDCSの未処理欠損金額の引継ぎを実現するため、意図的な組織再編成スキームの一環として発案されたものであり、本件副社長就任が、事業上の理由が希薄であるにもかかわらず特定役員引継要件を形式的に充足させるという税務上の目的を達成するためにあえて行われた行為であると認められる旨の主張を行っている。また、IDCF事件に関しては、IDCF事件第一審判決において被告である課税当局側の主張として記載されているところによれば、課税当局側は、本件分割から本件合併までの一連の行為は、本件提案の時点であらかじめ計画されていたものであり、IDCSは、IDCS株式譲渡によりヤフーの完全子会社となることが予定されていたのであるから、そのわずか4日前に、あえてIDCF株式譲渡を行い、IDCFがヤフーの完全子会社となることに特段の事業上の必要性はないことは明らかで、IDCF株式譲渡は、本件分割が非適格分割であるかのような外形を作出することにより、平成21年3月期で期限切れとなる平成14年3月期において発生した未処理欠損金額約124億円をIDCSにおいてもれなく利用するとともに、IDCFに資産調整勘定を生じさせ、これを5年間にわたって減額し損金の額に算入することで、IDCFの法人税の負担を減少させるために計画されたものである旨の主張を行っている。このような課税当局側の主張と最高裁が認定したところを比較してみればわかるとおり、最高裁は、課税当局側の主張するところをほぼそのまま採用して、ヤフー事件およびIDCF事件の構図を認定したものということができる。
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