租税回避をめぐる税務リスク対策
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はしがき平成28年2月に、いわゆる行為計算否認規定の解釈に関する最高裁の判断が相次いで示された。すなわち、同月18日には、同族会社の行為計算否認規定の適用が問題となった、いわゆるIBM事件についての最高裁決定がなされ、同月29日には、組織再編成にかかる行為計算否認規定の適用が問題となった、いわゆるヤフー事件およびIDCF事件についての最高裁判決が下された。いわゆるIBM事件についての最高裁決定は、上告不受理の決定であり、平成27年3月25日付けの東京高裁の判決が確定したということになるが、行為計算否認規定の適用が問題となった事案に対する裁判所の判断として、これらの最高裁の判断、さらにはその前提となった下級審の判断については、今後の行為計算否認規定の適用について考える上で検討する価値がきわめて高いと考えられる。これらの最高裁判決およびその原審判決および第一審判決については、すでに学者および実務家から数多くの解説が加えられているが、これまでの検討については、どちらかというと、行為計算否認規定の適用要件に関する法令解釈に関する検討が中心であり、その検討も、行為計算否認規定の適用要件についてのやや抽象的な内容が多いように思われる。そこで、本書においては、上記の最高裁判決やその原審判決、第一審判決について、いわゆる不当性要件を中心とした適用の要件についての判示内容を紹介した上で、行為計算否認規定の適用の要件について実務的な観点からより具体的な検討を加えるとともに、できる限り実務に沿った形で行為計算否認規定の適用に備えた対応について検討を加えることとしたい。なお、近時、いわゆるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトとの関
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