租税回避をめぐる税務リスク対策
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5第1章 はじめに損金を計上したことについて、法人税法132条の2を適用してこれを否認する課税当局の更正処分(以下、当該更正処分に係る事案を「IDCF事件」という)を適法とした原審(東京高判平成27年1月15日裁判所ウェブサイト。以下「IDCF事件控訴審判決」という)に対してなされたIDCF側の上告を棄却する判決(最判平成28年2月29日裁判所時報1646号9頁。以下「IDCF事件最高裁判決」という)を下した。IBM事件最高裁決定については、IBM事件控訴審判決が、法人税法132条1項の「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」との要件(以下「不当性要件」という)について、従来の裁判例において示された解釈や学説上の多数説と考えられる解釈よりも、より緩やかに不当減少要件への該当性を認めるものと思われる解釈を示したものとして、最高裁の判断が注目を集めていた。IBM事件最高裁決定が課税当局の上告を不受理とした結果、IBM事件控訴審判決が確定することとなったため、法人税法132条における不当性要件について、IBM事件控訴審判決において示された解釈をどのように理解すべきかが問題となっている。また、IBM事件最高裁決定のわずか11日後に下されたヤフー事件最高裁判決およびIDCF事件最高裁判決において示された法人税法132条の2における不当性要件についての解釈と、IBM事件控訴審判決において示された法人税法132条の不当性要件の解釈との関係についても検討を要するであろう。ヤフー事件最高裁判決およびIDCF事件最高裁判決は、法人税法132条の2の不当性要件の解釈について、ほぼ同一内容の判断を示しており、組織再編成にかかる行為計算否認規定である法人税法132条の2の適用要件である不当性要件について最高裁が初めて判断を示したものであり、最高裁判例として今後の実務における指針となるものである。第1編においては、ヤフー事件およびIDCF事件について示された組織再編成に係る行為計算否認規定である法人税法132条の2の不当性要件の解釈についての裁判所の判断、IBM事件について示された同族会社の行為

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