国外財産の移転・管理と税務マネジメント
26/30
第4節 国内非公開株式を利用した国外財産(金融資産・不動産)投資と課税239になる場合があります。このため、金融資産の運用目的、資金規模、分散投資のポートフォリオの組合せにより、法人による金融資産の投資スキームの取捨選択の判断については、専門家と慎重に検討する必要があります。第二に、国外資産を国内非公開会社が保有するため、個人は国外財産を直接保有しないで、内国法人の株式を保有します。そのため国外金融資産が内国法人の株式に換わることにより、国外財産が国内財産に転換されるため、罰則規定がある国外財産調書の記載及び提出が不要となります。第三に、法人を利用して以下の対策を行うことで、富裕層オーナーの財産にかかる相続税等をマネジメントすることができます。① 法人の経費計上について、代表者や親族に対して役員報酬や退職金を支払うことで、富裕層オーナーの金融資産からの収益を、親族の個人給与とすることで、次世代への所得の分散、又は相続税の納税資金を確保することができます。② 生命保険を法人で契約することで、法人の経費計上を行うとともに、富裕層オーナーの相続の際の納税資金を確保できます。③ 遺産分割を、財産を保有する会社株式を用いることで、比較的簡便に行うことができます。第四に、財産の所有者が個人から法人へ変わることにより、国外財産の手続きが複雑で長期間かかる各国(米国、英国、オーストラリア、香港、シンガポール等)のプロベイト手続きを回避できます。米国で遺産税の納税義務が発生する場合には、外貨預金も被相続人の財産としてエステイト(財団)の中に入れられ、プロベイト等の手続きにより、債権債務の相殺、費用の支払い、遺産税等の納税が終わった残余財産の一部が、分配金として相続人に分配されます。通常、プロベイト手続きが終了す
元のページ
../index.html#26