国外財産の移転・管理と税務マネジメント
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238第3章 国外財産の動かし方と課税関係課税所得を下げることができます。② 法人が行った金融資産投資における債券、株式等の譲渡損は、他の所得との損益通算が可能です。個人では、配当所得や譲渡所得は申告分離となり、他の所得との損益通算が制限されています。一方、法人の場合には、収益の源泉が利子、配当、不動産賃料、譲渡等であってもすべて収益は原則として益金として一本化されるため、金融資産以外の他の資産(例えば不動産等)で損失が出た場合には、金融資産収益との損益通算も容易です。③ 個人所得税は超過累進税率ですが、法人税は一定税率(23.4%:平成28年4月以降開始事業年度、15%:資本金1億円以下の法人で年間所得800万円以下への税率)であるため、高額所得者にとっては、全体として、個人で申告する場合と比較して、納付税額が下がります。例えば、国内所得だけで個人の所得税の課税所得が1,800万円の富裕層がこれまで国外資産の申告を行っていない場合は、所得税の税率は、課税所得1,800万円から4,000万円までは40%、4,000万円超は45%(平成28年度)であるため、今後国内所得と合わせて、国外金融機関に預けた預金利子や日本の金融機関を通さずに国外金融機関のプライベートバンク等が投資一任勘定で行う債券の利子等の国外所得を申告する際には、所得税上、総合課税となるため、この国外所得に対して所得税だけで40%、又は45%、住民税を合わせると約50%、又は55%が課税されることになります12。ただし、国外金融機関と直接に行う金融資産投資で上場株式等に該当する場合の配当や譲渡益についても、申告分離課税(所得税及び復興特別税15.315%、住民税5%)が選択できるため、上場株式等による投資が中心となる場合には、個人で投資し保有する場合の方が課税上、有利12 国外所得について無申告であった場合は、調査が入り修正申告となると更に加算税(10~20%)が課されることになる。
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