国外財産の移転・管理と税務マネジメント
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186第3章  国外財産の動かし方と課税関係稼得した所得も課税対象とされます。従って、日本の居住者である富裕層個人がスイスのプライベートバンクを利用して、資金を運用、譲渡等した収益(所得)は、基本として日本において課税関係が生じます。本節では、以下、この金融資産の運用、譲渡、贈与、相続について、日本の課税関係を中心に説明します。 1 国外金融資産投資(保有)の課税関係 1 日本での課税関係スイス・プライベートバンクの投資一任勘定口座に預け入れられた投資資金は、プライベートバンクの運用担当者により、投資方針に従って、一般的には預金、債券、投資信託、上場株式等に投資されます。投資する金融商品によっては、リスクを分散する目的で、スイスのプライベートバンクの投資一任勘定口座から更にスイス国外のマーケットにグローバル投資されていくことになります。ここではスイスに国外金融資産があるとして、各種の金融商品について、その運用収益としての利子、社債利息、償還差益、配当等について、日本における課税関係を見ていきます。スイスのプライベートバンクで資産を運用するメリットは、日本で資産を運用した場合と比較して高い運用利回りを得られることです。しかし、プライベートバンクの真の目的は、「資産を安全に次の世代に継承すること」であると言われており、戦乱の地であったヨーロッパにおいて長年顧客である富裕層の資産を守り続けてきたノウハウこそプライベートバンクの強みの源といわれています。(1)外貨定期預金等投資一任勘定口座の中で、銀行預金口座は、日本からの投資資金の受入れ、各種の金融商品の購入や売却資金の出し入れ、運用収益の受け入れや、1

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