中小企業における「株式」の実務対応
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198 なお、個人株主の分散防止や集約化を考える際にも、第2章でみた通り、経営者が安定した経営権を確保できていることが大前提になります。経営者が将来にわたって安定した経営権を確保できるか、そして経営者が安心して経営に集中することができるか、という視点を常に持ちながら検討していかなければなりません。選択肢の全体像 選択肢の全体像は図表5-1の通りです。 個人株主は社員株主であれば、時間の経過とともに「社員株主→社外個人株主→相続発生→社外個人株主(相続人)」と移り変わっていきます。また、社外の個人株主であれば、「社外個人株主→相続発生→社外個人株主(相続人)」という移り変わりになります。この流れが図の一番左側になります。 そして、社員株主・社外個人株主・相続発生時それぞれの段階において、分散防止や集約化のために考えられる選択肢が右側に記載されています。社員株主であれば、持株会の設立や取得条項付株式の活用が考えられます。社外の個人株主であれば、買い取り、経営への影響力低下、キャッシュアウトといった選択肢があります。さらに相続が発生した際には、会社が買い取る方法として2通りがあります。そして、相続発生時に買い取らなければ、相続人は社外の個人株主ですから、この図においてまた社外個人株主の位置に戻ることになり、社外個人株主の選択肢を検討することになります。 また、法人株主からの買い取りについては、社外の個人株主からの買い取りの場合と特に変わりません。現経営者・後継者、持株会、自社、法人といったような限られた選択肢の中から可能性のあるものを検討していくことになります。選択肢の全体像2

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