中小企業における「株式」の実務対応
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197選択肢の全体像第2章において、株式に関する課題を検討する際に「中長期的に必要な視点」として「株式の分散防止や集約化」が挙げられていますが、「株式の分散防止や集約化」について、まずは基本的な考え方や選択肢の全体像を教えてください。 基本的な考え方 中小企業において分散防止や集約化のために考えられる選択肢は限られており、特効薬のようなものがあるわけではありません。また、考えられる選択肢は株主との合意が必要なケースが大半で、なかには当事者以外の株主の意向の確認が必要な場合もあります。加えて、仮に合意が不要でも、理解を得たほうが望ましいケースが多いといえます。第2章で指摘した通り、個人株主という相手が存在するため、会社側の意向だけでは話を進めることができないのです。一方で、会社側においては資金が用意でき、かつ、長期安定的に保有可能な受け皿を探す必要があります。 そのため、基本的には解決に時間を要する課題で、早めの取り組みが大切といえるでしょう。時間の経過とともに個人株主がどのように変化していくのかを見極めながら、自社の将来の望ましい株主構成を考え、必要な対策を検討していきます。大切なことは、経営者自身が保有している株式の承継だけではないのです。Q5-1A基本的な考え方1第1節

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