中小企業における「株式」の実務対応
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第2章課題解決の方向性33かぎり常に必要な視点であり、株式に関していかなる対策を考える際においても、まずはこの視点が満たされるように設計する必要があります。 そして、中長期的に必要な視点として「経営者の保有株の円滑な承継」や「個人株主が保有する株式の分散防止と集約化」があるということです。したがって、これらを検討する際には、必ず「経営者による安定した経営権の確保」を満たすことを前提に考えていく必要があります。後継者が安定した経営権を確保できるように、経営者の保有株の承継や個人株主が保有する株式の行方を考えていかなくてはならないのです。この「経営者による安定した経営権の確保」については、第3章で詳述します。普段、中小企業が株式のことをあまり意識しない理由 なお、このような視点で考えると、普段、中小企業が株式のことをあまり意識しない理由も見えてきます。中小企業では、社長やその親族が大株主として経営権を確保しているケースが大半であるため、普段は安定した経営権が確保できています。また、経営者の交代や個人株主の高齢化・相続発生については短期的には顕在化する話ではありません。 一方、短期的に株主が変化するとすれば、増資や株主の異動になりますが、中小企業においては資金調達は増資ではなく自己資金や借入が中心となるため、増資によって株主構成が変わることもあまりありません。また、株主の異動も普段はあまりないのが通常でしょう。そのため、普段は株式のことをあまり意識しないというのは、ある意味必然ともいえるでしょう。普段、中小企業が株式のことをあまり意識しない理由3

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