中小企業における「株式」の実務対応
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31中小企業において考慮すべき3つの視点第1章において、中小企業は株式に関して中長期的には様々な課題に直面する可能性があることがわかりました。それでは、それらの課題に取り組む際には、どのような視点をもって考えていけばよいのでしょうか?中長期的に必要な視点 まず中長期的に必要な視点として、「経営者の保有株の円滑な承継」と「個人株主が保有する株式の分散防止と集約化」があります。 経営者はいずれは必ず交代しなければならない時期がやってくるため、経営者が保有する株式については、中長期的には後継者へ移動しなければならなくなります。しかし、後継者への株式の移動は簡単にはできません。移動にはコストがかかりますし、他の相続人への配慮も必要になります。このあたりの対応が不十分なまま相続が発生してしまうと、株式が相続人に分散してしまい、様々なトラブルが生じる可能性があるのです。そのため、トラブルを未然に防いでいかにスムーズに後継者へ株式を移動するかという視点が必要になります。この「経営者の保有株の円滑な承継」については、第4章で詳述します。 もう1つは「個人株主が保有する株式の分散防止と集約化」の検討があります。第1章でみた通り、中長期的には個人株主は高齢化し、やがては相続が発生して株式は相続人へ分散していくことになります。また、Q2-1A中長期的に必要な視点1第1節

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