中小企業における「株式」の実務対応
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4やってくるのです。このことは、大株主であることが多い経営者もまた同じです。相続は譲渡制限の対象外 多くの中小企業は、株式の譲渡について会社(取締役会または株主総会)の承認を要する旨を定款で定めています(会107①一、②一、139①)。 しかし、株主に相続が発生すると、実はこの譲渡制限が設けられていても、株式は相続人の手に渡ってしまいます。相続のような一般承継に際しては会社の承認を受ける必要がないのです(会134④)。「うちは譲渡制限をしているから大丈夫だよ」という経営者の方がいますが、実際にはそうではありません。会社法における譲渡制限は株式の譲渡を制限することはできますが、相続によって株式が相続人に承継されることを防ぐことはできないのです。こうして、何も手当てをせずに相続が発生すると、相続人に株式が分散してしまうという結果を招いてしまいます。個人株主はある日突然トラブルを起こすことがある 個人株主はトラブルを起こす潜在的な可能性を秘めています。もちろん、トラブルが起きないケースのほうが多いですし、うちはそんなことを心配する必要はないという経営者の方が多いのもまた事実です。しかし、このトラブルはある日突然起こる性質を持っています。会社にとっては思いもよらないタイミングでこのトラブルに遭遇することがあるのです。 会社に対する株式の買い取りの要請が典型例ですが、その他にも経営への口出し・介入、少数株主権の行使など様々なトラブルの可能性があります。また、個人株主にいつ相続が発生するかは誰にもわかりません。相続は譲渡制限の対象外2個人株主はある日突然トラブルを起こすことがある3

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