オーナ-経営者の視点から「株式分散」問題と集約をめぐる整理・対策ポイント
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9第1章 株式会社の分散株式をめぐる問題(4)会社の売却を考えているが買収先からの条件がある 会社に行方不明株主や名義株主がいます。経営者が高齢化して、子供も別の仕事に従事しており、同業他社へ売却を検討しています。買収予定先より、オーナー経営者一族が100%の株式を所有したうえで買い取る旨を条件にされることが多くあります。(5)疎遠になってしまった親族が株式を保有している 先代の社長が親族に株式を贈与で分散させてしまったため、会社経営と関係ない親族が株式を保有していますが、今では疎遠となり、株式の買取を相手側と交渉することに躊躇しています。(6)会社を辞めた役員から、株式の譲渡承認請求をされた 業績が悪化したときに責任を取って、ある役員が退職しました。退職時に会社が株式を取得価額で役員から買取する約束を口頭でしていましたが、退職時にその役員は会社へ株式譲渡をしないままに退職となってしまいました。数か月後その役員の代理人弁護士から「株式の譲渡承認請求」の書面が送られてきた結果、オーナー経営者も納得いかずに、裁判も長く続きました。結局想定した以上の高い価格で買い取ることになり、その裁判費用や弁護士費用も負担することになってしまいました。(7)会社が株主から自社株を買い取ろうとしたら、財源規制があると言われた 会社が株主から自己株式を買い取ろうと考えましたが、株主が同意する買取価額が高額となってしまいました。結局、会社がその高額な価格で自社株の買取手続を進めようとしたところ、財源規制にかかり自社株の買取を行うことができなくなってしまいました。

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