オーナ-経営者の視点から「株式分散」問題と集約をめぐる整理・対策ポイント
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41 分散株式をめぐる問題とこの本のポイント利用して、株主を大株主のみとするために、少数株主に対して金銭等を交付しつつ株式を強制的に買い取り、株主を会社から排除することを言います。スクイーズ・アウトはかなり強引な手段であることから専門的な知識を理解するだけでなく専門家の協力も必要となる場合もあります。この本では分散株式の整理は十分で緩やかに進めていく手法から最終的にスクイーズ・アウトに至るまでのそれぞれの手続き、書式、税務上のポイント等を説明しつつ、それぞれの会社の現況からどの手法が良いのかを考えるための手助けとなるように記述します。(4)この本のここがポイント(分散株式の整理のための株価) 株価の計算としての「時価」はひとつではなく、色々な場面で株価の計算方法も異なります。税理士が良く知る株価算定方法は税法に基づく方法です。その税法でも原則として時価を利用しますが、その時価を計算する方法の一つとして財産評価基本通達を利用することもできます。実際に分散株式の整理を緩やかに進めていく手法として、名義株式の整理又は株式の譲受等の同族会社間で利用する株式時価は財産評価基本通達で計算された時価(税法で利用されることの多い時価)を利用されていることが多いと考えられます。また、会社法を利用した手法(例えばスクイーズ・アウト等)でオーナー経営者と株主との協議がうまく進めば、同じように税法で計算された時価を利用する場合も少なくありません。一方で、株主の権利として裁判所へ売買価格決定の申立て等をする際の時価は税法上の時価を利用されにくい傾向となっています。 また、同族会社の場合、当事者間で合意する時価で株式の買取等を進めていく中で注意する点は他人間の売買と異なり、同族会社の同族関係者の売買、贈与並び相続については税金の視点からも考える必要があることです。同族会社の場合、売買当事者の両者が合意した時価であっても税務上で計算される時価と異なる場合には税務否認される恐れもあるため、税法の時価も比較しながら、売買後の税金計算をする際に税務上の調整が必要ないかを検討します。

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