オーナ-経営者の視点から「株式分散」問題と集約をめぐる整理・対策ポイント
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はじめに 日本の会社の99%が非上場の中小企業であり、そのうちの多くが所有と経営が一致しており“オーナー経営者”が会社を経営しています。 このオーナー経営者の周りには、同じ思いを込めて創業した仲間や、自らの親戚(近い親戚や遠い親戚)、従業員、取引先関係者、そして金融機関等の担当者などがおり、多くの方々に支えられ、関係のあるものが株主となっている会社も多く見られます。 オーナー経営者側にとって、株式が分散した状況でも今までは問題はなかったかもしれません。しかし、人とのつながりが希薄化していく様相の時代に、多くのオーナー経営者やその後継者達は、株式を分散させたままの状況には会社経営のリスクが潜在化していると気付いているようです。 多くの非公開会社で実際に起こりうることですが、少数の株式を持っている株主が、会社に株式の譲渡承認請求を求め、最終的に会社側が高額な譲渡代金を支払うという事例があります。これをテーマにした小説(牛島信著『少数株主』幻冬舎、2017)も出版されており、少数株主(名義株)を放置しておくリスクを再認識させられます。また専門家である著者には、本書執筆中にも「銀行が、オーナー経営者が全株式を取得するためなら資金融資をするというので、特別支配株主の株式等売渡請求の利用を考えているがどうやって進めればよいか」「息子への事業承継のために、株式の整理をしたいが株式併合の長所や短所を教えて欲しい」等の相談が日々入ってきます。 また法務面、税務面では、分散した株式(分散株式)を整理する方法の有効な手段として、平成26年会社法の改正で株式を強制的に買い取る方法(スクイーズ・アウト)の法整備が進み、さらに平成29年税制改正により税制面での整備も進んできました。平成30年税制改正による事業承継税制の改正で相続税・贈与税の納税の猶予が利用しやすくなったこともあり、事案によっては、節税目

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