都市農地の特例活用と相続対策
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140 調整区域の農地が市街化区域に編入されますと、農地を宅地に転用する場合の手続が許可から申請に代わり容易に転用できるようになるため、相続税評価が大幅に上昇します。また、固定資産税も原則として宅地並み課税となります。1 調整農地の評価方法 「調整区域」の農地の相続税評価は、倍率方式(その農地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式)によって計算されます。たとえその調整農地のある地域に路線価が付されていても、路線価方式によらずに倍率方式によって計算することとされています。2「路線価方式」と「倍率方式」⑴  路線価方式の計算例①1㎡当たりの路線価 225,000円②1㎡当たりの造成費相当額 5,000円③評価地積 300㎡◆計算式  (225,000円-5,000円)×300㎡=66,000,000円 評価しようとする土地の接している道路に付されている路線価をもとに、その土地の地形や奥行き、間口、広さなどによって調整した1㎡当たりの評価額に、その土地の地積を乗じて計算することが基本です。農地の場合には道路面から段差があり、造成しなければ宅地として利用できないため、その造成費相当額を控除して計算することになります。⑵ 倍率方式の計算例①固定資産税評価額 200,000円②固定資産税評価額に準ずる倍率 70◆計算式  200,000円×70=14,000,000円 倍率方式の場合には、その土地の固定資産税評価額に、その地域ごとに定められた倍率を乗じて計算することになります。3 市街化区域農地の評価 「市街化区域」の農地については、宅地比準方式(その農地が宅地であるとした場合の価額をもとにして評価する方式)によります。そのために、路線価が付されている地域においては、2⑴の路線価方式によって評価されることになります。また、路線価が付されていない地域については、倍率方式によって評価されます。4 調整農地が市街化農地に編入された事例 右ページの例では、調整区域の時には約1,362万円の評価だったものが、市街化区域編入後は1億2,420万円へと大幅に上昇した例です。調整区域から市街化区域編入されると、このような例は珍しくなく、少なくとも相当評価額が上昇します。8-2 調整区域の市街化編入でこんなに相続税評価が上昇

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