Ⅲ――応用編522Ⅲ――応用編522 A社・C社ともに原則的評価方式によります。解説 A社はZが議決権を100%保有しているため、原則的評価方式となります。 一方、Zが保有するC社株式は、無議決権株式で、かつ発行済株式総数の4%しか保有していないので、一見すると配当還元方式が利用可能に思われます。 しかし、Zが保有するC社株式の評価方法を判定する上で、以下の3点に注意して検討する必要があります。1.同族株主、中心的な同族株主については、発行済株式ベースでなく、議決権ベースで判定します。このため、YsでなくYがC社の同族株主、中心的な同族株主となります。2.同族株主がいるかいないかの判定は、株主の一人からみるため、Yを中心に検討しますが、国外転出時課税の対象となる株主Zが中心的な同族株主になるかならないかの判定は、Zを中心に検討します。3.Zからみた中心的な同族株主の範囲には、親族間の諍いや対立関係は考慮せず、親等数を基礎として兄弟姉妹を含めて計算します。 結果、Zからみた場合、兄Yを含めて判定するため、Zは中心的な同族株主に該当し、C社の議決権株式保有割合・C社役員であるか否かに関わらず、原則的評価方式が適用される株主となります。 株価評価上の同族株主・中心的な同族株主判定は、親族間の人間関係や経営関与度合いの濃密・希薄に関わらず一律に判定するため、自らは評価対象法人と関係の薄い株主であっても、当該法人の株主(議決権)関係や親等数の確認が重要となります。 対策のヒントZの出国前にC社株式を子Zsに贈与していれば、Zsを中心とした場合の中心的同族株主の範囲にYは入りません。結果、Zsは配当還元方式で評価して贈与税申告をすることが可能となります。A
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