Q&A 事業承継をめぐる非上場株式の評価と相続対策
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第10版改訂にあたって 前版の改訂から早2年、時代も令和に変わり、おかげさまで本書も第10版を迎えることとなりました。 この2年間を振り返りますと、世界経済は米中の関係悪化、イギリスのEUからの離脱問題等、貿易や地政学的な情勢をめぐる不透明感が増大し、減速傾向にありました。 一方、日本経済は日銀の異次元の金融緩和の継続や、東京オリンピックに向けた内需の伸びが景気をけん引し、これまで緩やかな回復傾向が長く続いてきましたが、世界経済の低迷を受け、減速傾向に転じつつあるようです。 この間の税制面の大きなトピックとして、令和になって最初の年に実施された、消費税の増税が挙げられます。日本経済にこの増税がどのように影響するかについては、まだはっきりしませんが、今後も注視が必要と考えます。 また、資産税の分野では、時限立法として、事業承継税制における特例制度が導入され、中小企業者の事業承継における選択肢の一つとして、俎上にのぼるケースが増えてきた感があります。 さらに、民法の相続法の分野でも、配偶者の居住権を保護するための方策、遺産分割・遺言制度・遺留分制度・相続の効力等に関する見直し、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策等について、約40年ぶりといわれる大幅な改正が行われました。 相続税を含む資産税の分野にも、大きな影響が及ぶものと考えます。 一貫して「事業承継」をテーマとしてきた本書も、このような経済情勢や税制・法制の変化の影響を捉え、常に最新の情報をお届けする書籍を目指して改訂を重ねております。 デロイト トーマツ税理士法人では、事業承継についての専門チームによる事例研究や情報交換を通じて議論を深め、事業承継をめぐる諸問題に対処すべく取り組んでまいりました。

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