負動産スパイラル
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3経営視点からの問題②耐用年数切れ以降の再販価格区分所有の二つ目の問題は、耐用年数切れの再販価格についてです。強固な鉄筋コンクリート造の建物でも税務上の法定耐用年数は新築から47年です。つまり、新築から所有し続け47年経つと税務上の価値は0ゼロになるということです。もちろん、東京の港区等であれば立地の希少性からその区分所有マンションを売却できないということはありません。しかし、その売却価格は大幅に下落しているでしょう。なぜなら、税務上の法定耐用年数切れの物件には金融機関のローンが出にくいという現実があるからです。多くの人は不動産を購入する場合ローンを組みますが、その期間の上限は残存法定耐用年数となることが多いです。つまり法定耐用年数切れの区分マンションは、ほとんどの金融機関からローンを借りることができない物件となります。ローンが出ないということは、買える人がいないということであり、需要が小さくなるため、必然的に価格が下落していくということになります。もちろんマンションの土地そのものには価値がありますが、土地として取引するには建物を取り壊さなくてならず、その解体費用が高額であれば土地の持分で受け取れる金額を超えてしまう可能性もあります。つまり、取り壊して土地として売却しても損が出てしまうし、そのままでは買い手がつかない状況になります。そうなってしまったら最後、設備保全のための管理費や修繕積立金の滞納者が増え、負動産として使いもしない一等地の固定資産税を永遠に払い続ける羽目になります。4一棟モノについて逆説的ではありますが、建物全体とその土地が自分の所有である一棟モノは、将来、建物が老朽化しても所有者である自分の意志で取り壊すことができ更地として売却ができます。661これが負動産だ!!

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