専門税理士の相続税務
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第4章 債務・葬式費用190また、連帯債務者のうち弁済不能の状態にあるものがあり、かつ、求償の見込みがなく、その者の負担部分をも負担しなければならないと認められる部分においては、その金額も控除することが可能です(同14-3)。5相続人等による立替金被相続人の生前、被相続人の生活費や医療費の一部を相続人が立て替えているケースがあります。この相続人が立替えた金額(立替金)については、それが「扶養義務の履行としてなされた場合」を除き、その負担額は債務控除が可能となります。扶養義務の履行としてなされた場合とは、次の要件が必要と考えられます18。① 扶養を受けようとする者に生活資力がないこと② 扶養しようとする者に扶養能力があること③ 扶養権利者が扶養義務者に対し扶養の請求をすること例えば、被相続人に十分な資力がある場合は、上記①に該当しますので、扶養義務の履行にはあたらないこととなります。この場合、相続人等が支払った生活費や医療費は、被相続人が支払うべきものとなりますので、被相続人は、その立替えられた金額に相当する債務を負っていたことになります。なお、債務控除にあたっては、立替の事実を証明するため、相続人等が支払った金額や支払先、日付を明らかにしておく必要があります。6団体信用生命保険契約により返済が免除される住宅ローン団体信用生命保険契約に基づき返済が免除される住宅ローンは、被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることとなります。したがって、相続人が支払う必要のない債務となるため、相続税の課税価格18 『税務関係実務相談録(資産税編)』六法出版(加除式)、「医療費と債務控除」参照

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