専門税理士の相続税務
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第2章 相続財産の範囲と評価663非課税財産一方、相続税法では、相続又は遺贈により取得した財産であっても、公益性や社会政策見地、国民感情の面から、課税対象から除いているものがあります。これを非課税財産といいます(相法12)。相続税がかからない財産のうち主なものは次の通りです。①  墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの(相法12①二) (ただし、投資対象や商品として所有しているものは相続税がかかります)② 一定の公益事業を行う者が取得した公益事業用財産(相法12①三)③ 条例による心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権(相法12①四)4税法における財産と民法における財産相続税においては、適正な相続税申告の実現という視点で相続財産の範囲を確定して評価します。一方、民法においては、公平な相続財産の分割という視点で相続財産の範囲を確定して評価します。そこで、税法上の財産と遺産分割の対象となる財産は必ずしも一致せず、相続財産ではあっても性質上遺産分割の対象とならないものがありますし(可分債権、金銭債務)、相続財産ではなくても当事者の合意により遺産分割の対象とされることもあります(代償財産、遺産から生じた果実及び収益、祭祀財産、遺骨、葬式費用、遺産管理費用)。代表的な例が生命保険金です。生命保険金は、原則として、遺産分割の対象とならず、遺留分の算定根拠にも入りませんが、税務上は相続財産に計上されます。また税務上特異なものが名義財産です(第5章参照)。親族名義であっても実質的に被相続人に帰属する財産は相続財産に計上されますが、法務においては特別受益9として扱われることが一般的です。9 特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、生前に生計の資本として贈与を受けたりした者がいた場合に、特別な受益を相続分の前渡しとみて、計算上贈与を相続財産に持戻して相続分を算定し、共同相続人間の公平を図る制度をいいます(民903)。

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