土地評価の重点解説
23/26

第3章 宅地の上に存する権利の評価及び権利の目的となっている宅地の評価203る利息の支払いがあるとき又は無利息のとき ●次の算式により計算した金額保証金等の額に相当する金額−保証金等の額に相当する金額×定期借地権等の設定期間年数に応じる基準年利率による複利現価率−保証金等の額に相当する金額×約定利率×定期借地権等の設定期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率  保証金は、契約期間満了時には返還する義務があります。しかし、保証金返還の約定利率が無利息又は基準年利率以下の場合、保証金を契約期間に亘って基準年利率で運用すれば、借地権設定者は保証金全額を手元に留保しておく必要はありません。上記算式の意味するところは、保証金に相当する金額から手元に留保すべき金額(返済原資)を控除することにより、設定時に借地権設定者が自由に処分することができる金額、すなわち借地人サイドから見れば借地権の対価といえる金額を算定するものです。③ 定期借地権等の設定に際し、実質的に贈与を受けたと認められる差額地代の額がある場合 ●次の算式により計算した金額差額地代の額×定期借地権等の設定期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率  (注)1 実質的に贈与を受けたと認められる差額地代の額がある場合に該当するかどうかは、個々の取引において取引の事情、取引当事者間の関係等を総合勘案して判定します。    2 「差額地代の額」とは、同種同等の他の定期借地権等における地代の額とその定期借地権等の設定契約において定められた地代の額(上記①又は②に掲げる金額がある場合には、その金額に定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による年賦償還率を乗じて得た額を地代の前払いに相当する金額として毎年の地代の額に加算した後の額)との差額をいいます。  実質的に贈与を受けた差額地代は、通常の第三者間の契約では考えられませんが、親族間等の同族関係者間での契約の場合に想定されうるものと考えられます。「実質的に贈与を受けた差額地代」がある場合には、上記算式で計算した金額が借地人に帰属する経済的利益となり、また借地権設定時に借地人が供与を受ける経済的利益の額となります。  権利金や保証金の授受がある場合には、次の金額を実際の地代に加算したところで「実質的に贈与を受けた差額地代」の額を計算します。 ●権利金の授受がある場合権利金の額×定期借地権等の設定期間に応ずる基準年利率による年賦償還率 ●保証金の授受がある場合上記②の算式で計算した金額×定期借地権等の設定期間に応ずる基準年利率による年賦償還率  なお、年賦償還率とは、一定の利率のもとで将来時点において元金を毎年末に均等償還する額を計算する場合に用いられる率です。したがって、年賦償還率は複利年金現価率の逆数となります。

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る