第3章 宅地の上に存する権利の評価及び権利の目的となっている宅地の評価201ただし、課税上弊害がない限り、その定期借地権等の目的となっている宅地の課税時期における自用地としての価額に、設定時における定期借地権等の割合及びその逓減率を乗じて評価します。実務上は一般的には後者の簡便法により評価することになるものと思われます。●簡便法の評価式設定時における定期借地権割合逓減率課税時期の自用地価額(相続税評価額)×定期借地権設定時に借地権者に帰属する経済的利益の総額×課税時期におけるその定期借地権等の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率定期借地権設定の時におけるその宅地の通常取引価額定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率 イ 設定時における定期借地権割合について ① 定期借地権設定時に借地権者に帰属する経済的利益の総額 定期借地権設定時における借地人に帰属する経済的利益の総額は、次の金額の合計です。 ○権利金等の授受がある場合……権利金等の額 ○保証金等の授受がある場合……保証金等の授受に伴う経済的利益の額 ○実質的に贈与を受けたと認められる差額地代がある場合 ……毎年享受する差額地代の現在価値 これらの詳細については、次の⑵「定期借地権等の設定の時における借地権者に帰属する経済的利益の総額の計算」をご覧ください。 ② 定期借地権設定の時におけるその宅地の通常取引価額 分母の価額は、定期借地権の目的となっている宅地の通常取引価額です。相続税評価額ではありませんので、注意してください。 なお、通常取引価額が設定契約等において明確でなく、かつ地価変動が著しくない年のときには、その年の自用地価額を0.8で割り戻した価額によっても差し支えありません。 ロ 逓減率について 上記逓減率で用いられる複利年金現価率とは、「毎年一定の額で生ずる収益(年金)を一定の利率で複利運用した額の現在価値の総和」を求める率です。 定期借地権等の設定に当たり授受される一時金等は、設定期間に亘る前払地代の清算とも考えられますが、上記逓減率は、前払地代等の一定の収益を基準年利率により「設定期間年数運用した場合の現在価値の総和」に対する「残存期間年数運用した場合の現在価値の総和」の割合です。 なお、各月の基準年利率及びその複利表は、四半期ごとにまとめて個別通達(法令解釈通達)により公表されています。 ハ 簡便法により評価できない課税上弊害がある場合
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