はしがき 時間の経過は早いもので、初版を執筆してから6年半が経過しました。この間、相続税においては基礎控除額の大幅な引下げがあり、課税件数割合は大幅にアップしました。各種の税理士の相談会においても、その相談内容の過半は相続税に関するもの、という状態です。税理士にとっては相続税、そして土地評価はますます重要な分野となっています。 改訂版においては、初版同様に、相続税・土地評価に従事する税理士が手元に置いて頼りになる1冊となることを意識して執筆しました。 具体的には、財産評価基本通達の最も大きな改正である「地積規模の大きな宅地の評価」について、旧広大地評価との比較により、共通する基本的な考え方及び大きく見直された判定基準を分かりやすく説明することを心掛けました。通達の改正直後には大幅な評価額の引上げになる改正というように思われていましたが、他の画地調整率等との併用ができるようになったこと及び農地山林等については宅地造成費も併せて適用できるようになったことから、むしろ評価額が旧広大地評価よりも低くなる場合も多いように思われます。旧広大地評価においては、「通達の広大地に該当する」と判定できれば評価額は簡単に算定することができましたが、改正後の「地積規模の大きな宅地の評価」においては、形状、法的規制、さらに農地山林等においては高低差や傾斜度の確認が必要であるなどより精緻な作業が必要とされています。 また、評価にかかわる重要な裁決事例を設例で説明しています。 土地の評価については、通達等の知識だけではなく、現地確認・役所調査等の不動産調査が重要です。 第9章では、法務局、市役所等及び建設事務所・土木事務所等の主な役所での不動産調査についても説明しています。本文途中で、説明されている法的規制の有無等をどこで確認すべきか、と思われた場合には第9章を参照してください。 本書が土地評価の実務に携わる皆さんのお役に立てば、執筆者としてはこれほどうれしいことはありません。 最後になりましたが、改訂の機会を与えていただいた株式会社清文社のみなさん、特に初版以上に鋭いチェックをいただいた編集第二部の尾形和子氏には心から感謝申し上げます。 平成30年10月丸田 隆英
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