法人と個人の新・事業承継税制
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はじめに 平成30年(2018年)、平成31年(2019年)と事業承継税制を取り巻く環境は大きく変わりました。 まず、平成30年度税制改正では「非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予制度」が大きく改正されました。特例により、従来、発行済議決権株式総数の3分の2まで猶予対象株式だったのが100%猶予可となり、しかも納税猶予割合も100%となったことで、使い勝手は従来のものとは比べものにならないほどになりました。さらにはネックとなっていた雇用80%維持要件の事実上の撤廃や代表者以外からの贈与も納税猶予の対象となることになりました。この特例は、以前からの「一般措置」と異なり「特例措置」と呼ばれ、平成30年(2018年)1月1日から平成39年(2027年)12月31日までの時限措置であるとともに、平成30年(2018年)4月1日から平成35年(2023年)3月31日までの間に「特例承継計画」を都道府県に提出して確認を受け、贈与や相続の後に円滑化法の認定を受ける必要があります。いずれにしても100%納税猶予が可能となる画期的な新制度が誕生することになりました。 さらに、平成31年度税制改正では、上記の非上場株式の納税猶予制度をより活用できるように一部改正を施したほか、今度は個人事業者の事業承継にスポットがあてられています。これは「個人事業者の事業用資産に係る贈与税・相続税の納税猶予制度」と呼ばれ、個人が事業用に使用していた土地、建物、車、減価償却資産、無形資産など「特定事業用資産」を贈与や相続により取得して事業を継続していく場合には、100%納税猶予特例の適用があるという新制度です。従来の事業用に供していた土地が400㎡まで80%減額される小規模宅地等の評価の特例と異なり、初めての大型個人事業承継優遇制度となります。この特例を受

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