消費税軽減税率取扱いの実務
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我が国において、消費税が平成元年に導入されて以来、消費税率が3%、5%、8%と引き上げられてきましたが、平成31年10月1日には、10%に引き上げられることとなり、ついに税率が2桁にまで到達することとなりました。さらに、今回の10%引上げについては、軽減税率制度の導入も同時に実施されることとなり、一定の飲食料品及び新聞の譲渡につき軽減税率である8%を適用し、消費税率が単一税率から複数税率に変更され、消費税の経理実務に多大な負担を強いることとなりました。この軽減税率制度が導入される経緯については、平成24年8月に3党合意のもとに制定された『社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律』(平成24年法律第68号。以下「抜本改革法」といいます)によるもので、この法律により消費税の収入の使途を社会保障費に充当することを明確化し、消費税率を5%から8%、10%と2段階で実施することが定められ、この際に検討課題として軽減税率制度が取り上げられました。これは、消費税が消費一般に対して広く負担を求めるという観点から水平的な公平性は確保されるものの収入に占める消費税の負担割合は低所得者ほど高くなるという、いわゆる逆進性の問題が生じることから、消費税率の引上げに伴う低所得者への配慮として軽減税率が検討され、今回の10%引上げに伴い軽減税率制度が導入されることとなりました。なお、抜本改革法では、軽減税率制度の導入を検討課題として取り上げられたにすぎず、消費税率の10%引上げの方が先に実施される予定でしたが、平成26年4月1日に第一段階の8%引上げが実施された後に、経済状況を総合的に勘案して税率引上げを実施するという景気判断条項に基づき10%引上げの時期が1年半延期(平成27年10月1日を平成29年4月1日へ変更)されることとなり、その後の平成28年度税制改正にて軽減税率制度の導入を決定しました。3

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